water water

2005年5月27日 暗い詩
水に浸かる私。
「浸かるだけじゃなくて泳ごうよ」と誘う君。
ゆらゆらと時が流れてく

むかしからわたしはそうだった。何もかもを投げ出して、できないことはとことんやらない人間だった。でも全てを見たかった。
ここを越えたらあなたの森が待ってる。


「ほらぁ。泳がなきゃ意味ないじゃん」
「やだね」
浸かっているだけでよかった。
体温が水に吸い込まれていく。

そうやって自分を誤魔化してきた。全てから目を逸らしてきた。「できないことなんてない」そうじゃない。出来ないことから目を逸らしていただけ。
ここを越えたらあなたの城が待ってる。


「もぅ。あんたはめんどくさがりねぇ」
「ありがとう。最高の褒め言葉よ」
呆れる君。
憎まれ口を叩く私。
解っていた。全部。

そう。あなたを悲しませたくなかった。悲しんでいるところを見たくなかった。あなたが好きだった。だからこそ目を逸らした。
ここを越えたらあなたが待ってる。


「じゃぁ一人で行ってくるね。泳ぎたくなったら教えてね」
「ンなことあるわけないじゃない」
気持ちよさそうに泳ぐ君。
相も変わらず浸かっているだけの私。
体温はもう感じられない

森、城、それからあなた。私は全てを越えた。もう越えるものが無くなるほどに。越えたいという思想は全てを越えたんだ。死ぬ気になれば何だって出来るんだ。それを証明したんだ。もう越えた。でも、森を城をあなたをこんなに残酷な形で見るとは思わなかったよ!!!
もう越えるものは何もない。


沈んで行く。
大きな声が聞こえる。
救急隊員が私に向かって何かを叫んでる。
君が何かを言っている。聞こえない。
意識が遠くなった。


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