あの子はもう戻ってこないのね。
何度呼んでも返事すらしなかった。

部屋が散らかっている。
母は何も言わない。

父と目が合う。
うつろな目。

猫が扉の前に。
「どうしたの」
微動だにしない。

ごめんね。
きみを見つけられなくて。

でもきみがわるいんだよ。
戻ってこないから。
勝手に出ていくから。

もう、わからない。
どこかに行ってしまった。

悔しいけど、
悲しいけど、

私は、声を殺して、
 
 
 
 
「ごめんね、
 
 
 
 
 ありがとう、
 
 
 
 
 さ よ な ら 」
 
 
 
 
と呟いた。

そして、
暗い公園の真ん中で、
独り、泣いた。

でも、涙なんか全く気にしちゃいなかった。

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